
トランプは「大泉(おおいずみ)緑地」で朝のウォーキングを楽しんでいます。
ここはバーベキューの施設。
この緑地でも紅葉の最終走者はセコイアですね。

さらに歩いて...

影の面白い休憩所。



落ち葉が積もっています。



もう少し歩くと駐車場。

今朝はウォーキングのペースが速かったのか、気温が低いのにトランプがハァハァしています。
水分補給をしてから車へ戻りましょう。

トランプは今朝もいっぱい歩きました。
《蛇 足》
近年、滋賀県高島市の500本の巨木が並ぶメタセコイア並木など、各地で落葉する針葉樹、セコイアの紅葉が人気を集めています。
このセコイア(Sequoia)という名前はネイティブアメリカン、チェロキーと呼ばれるグループに属していた銀細工師にして伝説の賢人、シクウォイアさんのお名前に由来します。
シクウォイアさんの伝記で、私がもっとも興味をひかれるのはやはり「チェロキー文字」を創造したことです。
この偉業は「文字を持たないグループの一員が文字体系を独力で作り出した、歴史上唯一の例」と評価されています。
さらには「チェロキー文字」はその文字の価値を認めたチェロキーの人々に広まり、その識字率は当時の白人入植者よりも高かったそうです。
彼はアルファベットやアラビア数字などを参考に86の音節文字を創出しましたが、元のアルファベットの音とは無関係に文字体系を作ったので、英語などでアルファベットになれた人にはかえって習得に時間がかかるようです。
「チェロキー文字」にはアルファベットや数字にはないものも多くあり、彼によって無から創造されたそれらの造形は思わず笑顔を誘います。
たとえばシクウォイアさんのお名前をチェロキー文字で表すと

となります。(左からs, si, quo, ya)
ね、楽しいでしょ。
ちなみに、この記事のタイトル「世界爺(せかいや)」はセコイアの思いっきりの当て字ですが、検索してみるとあちらこちらに用例がありますね。
《蛇足の蛇足》
ところで、上ではメタセコイアとセコイアをあまり区別せずに使いました。違いはあるのでしょうか。
私には小学校のころに「メタセコイア」の植樹イベントがあって、そのときに「この木は生きた化石である」という説明があったようなおぼろげな記憶が残っています。
「メタ」がなぜ「セコイア」の前についていたのか...調べてみると...
セコイアとメタセコイアは別の種類でした!
セコイアはアメリカ合衆国の「セコイア国立公園」などで有名な世界最大の巨木で常緑樹。落葉しません。
ですから私たちが日本で紅葉を愛でているのはすべて「メタセコイア」。
では、なぜ「メタ」がつくのか。
1941年、大阪市立大学教授の三木茂博士が岐阜県土岐(とき)市で発見された植物の化石をセコイアとは別種であるとして、「後の=meta」を冠して「メタセコイア」と命名なさいました。
このメタセコイアはおよそ100万年前には絶滅したと考えられていましたが、1945年、中国四川省で現存しているメタセコイアが発見されたのです。まさに「生きた化石」!
そして、現地を調査したアメリカ合衆国の古生物学者チェイニー博士(Dr. Ralph W. Chaney)が採集した種子から育てられた苗木100本が、三木博士によって大阪市立大学に寄贈され、それが日本各地に広がっていきました。
(チェイニー博士は昭和天皇に種子と苗木を献上し、それが現在も皇居の吹上御苑にそびえているそうです。)
メタセコイアは意外にも大阪と深い関わりのある植物なのでした。
トランプとレディーがいつもお散歩に行く大きな公園のメタセコイアの中にも最初の苗木から育ったものがあるかもしれません。
《蛇足の蛇足の蛇足》
メタセコイアの「メタ」はMetaphysics(形而上学)の「メタ」と同じものだったんですね。
Metaphysics の meta はアリストテレスの著作編集の際、形而上学的な考察を自然科学(physics)の「後に」置いたといういささか残念な語源(諸説あり。)ですが、内容的には後の方が高次のものだったので、現在では「メタ~」を「高次の~」という意味で使うようになったのはご存じの通り。
それに対して「形而上学」の「形而上」は易経の一節にある言葉で、この訳語を考えついた人の知性と感性にはただ敬服するのみです。


